あなたの心臓になりたかった
入っていたのは、一枚の絵だった。私と蛍さんがマイクを持って歌っている。レクリエーションの時のものだ。

「……ッ」

私は震える指で手紙を開けた。

「この手紙を読む時、私はきっとこの世にはいない。だって、私が死んでから渡してほしいって頼んだから。私、死ぬことは当たり前だって思っていたけど、三葉ちゃんと出会ってもっと生きたいって思っちゃった。今まで、私のところに実習に来てくれる人はいたけど、泣いてくれた人は初めてだったから。その涙が、あの時の言葉が、とても嬉しくて泣いちゃう。三葉ちゃんは「だれかの心臓になれたなら」っていう曲は知ってる?きっと、私の心臓は三葉ちゃんだったんだね。だって、最後までそばにいてくれた。……まあ、これは私の勝手な話なんだけど。重すぎるかな?私と話してくれて、ありがとう。三葉ちゃんが幸せになることを祈ります」

あの時、初めて会ったのに、私のことを……。私のことを、そんな風に思ってくれる人がいたの?
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