かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「香花ちゃん……」
「そんなことしちゃって」
 薄笑いさえ浮かべていた。
 彼女は、一体、いつから? どこから?
 尋ねたいけれど、怖くて聞けない。
 今のキス……間違いなく、見られていた。
 彼女は、多分、純にこのことを報告するだろう。
 そして、純の気持ちを自分に向くよう、仕向けるだろう。
 ――なんて、憶測だけれでも、焦ってしまった。
 香花ちゃんは、たたっと駆けて、行ってしまった。
 ――弁解なんて好きじゃないけど、明日、純に弁明しなきゃ。
 あかね色に染まる、夕陽に私は思いを馳せた。
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