かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 私が、焼き魚で熱の跳ねたお母さんの腕の手当てに手間取っていなきゃ、彼らの接触は阻止できたはずだった。
 私も、純のポーカーフェイスよろしく、自分の席に着いた。
「おはよ」
 何気なく、純に声をかける。
 私の後ろの席の純は、なにやら五線紙に譜を書いていて、無我夢中といった感じだ。
 香花ちゃんとの接触はなにもなかったのか。
 ほんのちょっと、胸を撫で下ろしたりする。
「アンタ……譜面なんか書けたっけ?」
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