かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
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 車内には、なんというか、暗いクラシックが流れていた。
「アツシくん、なに、この陰鬱な曲」
 先生は、柄にもなく黒いサングラスをかけて、車を走らせていた。
 今日は“デート”。
 どうしても人目についてしまうので、やっぱり車移動になってしまうのだった。
「ん? ビバルディの“夏”だよ」
「え~。何でこんなに暗い曲……」
「雷鳴を現してんだな」
「もっと突き抜けるような曲ないの? それこそ夏だったらビーチボーイズとかさぁ」
「ビーチボーイズなんてよく知ってんな、オマエ」
 純の影響だ。
「それにしても、オマエの格好、夏のお嬢さんって感じでいいな」
「お嬢さんって柄じゃないけどね」
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