かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 アツシくん――高野先生――は、一瞬フリーズする。そして、
「大丈夫だよ」
ぽんぽん、と彼は私のあたまを優しく叩く。
 先生は、先に歩いて行ってしまう。
 私は、私と先生の間柄が周りに知られてしまうことなんて、どうでもよかった。
 そんなことより、なっちゃんのことが心配だった。
 私がこれまで、周りのことはどうでもよかった。
 そのはずなのに、どうしてもなっちゃんのことが心配だった。
 理科室のように、つんとした匂いも何もしない、ただかび臭い物理室に高野先生とふたりきで入った。
「それで、朝の職員会議では、なんて」
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