かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 先生は、ああ、聞こえた、と返事をした。
「どゆこと?」
「俺、今から物理室に籠もろうとしてたんだが……くるか」
「内情を知ってるの?」
 先生はふーっと息を吐く。
「朝の職員会議でな。ちょっと話題になった」
 私は先生の服にしがみつく。
「なっちゃん、どうなっちゃうの……!」
「そんな心配しなくても――」
「センセーはだいじょぶなの? 私たちのこと、もし公になったら――」
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