かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 がらがらっ、とそこで音がした。
 ドアが開けられる音ではなく、閉められる音だった。
 見れば、純が、こっちを向いたまま、後ろ手でドアを閉めていた。
「純――」
 私は思わず、彼の名を呼んだ。
「筒抜けですよ。ドア、開けっ放しだったんで」 
 教室から飛び出した私を、彼はこっそりと追いかけてきたらしい。
 純は、俯いていた顔を上げる。
「なに、あんたらの関係って」
 先生相手に、“あんた”呼ばわりだ。
「つきあっていた、ような関係」
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