かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 先生はマグの取っ手を握り、真っ直ぐ純を見つめる。
「柚実」
 純は、私に真実を求める。
「好きだったよ、高野先生のこと」
 私は本音を伝える。
「だけど、それよりもずっと、純のことが好きだった。ほんの、火遊び。私は、純が好き」
「ふーん」
 ここまで純が追いかけてきてくれたことが、嬉しい。あんなにも感情が外に出ないひとなのに。
「――」
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