かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
 私は思わず口に出していた。
「あ、香花ちゃん、って呼んでもいい?」
「……はい」
 また真顔になってしまった。
「私のこと、好きに呼んでいいから。柚実ちゃんでも、呼び捨てでも」
「……はい」
 私も笑顔を返し、自分の席へと向かった。
 私の後ろの席では、純が今日も机にうつ伏して眠りこけていた。
 昨日私が渡した散文の上で眠っている。
 私は起こすのも悪いと思い、ぎーっと椅子を引いて席に座ろうとした。 
 すると純はのっそりと顔を上げ、ああ、アンタか、と呟いた。
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