かすみ草揺らぐ頃 続く物語 ~柚実16歳~
「じゃあ……挙手!」
 次々と手が挙がる。 
 この、少年のような澄んだボイスに、歌わせたいファンは沢山いるのだろう。
 中でも、少数派にあたる男のひとを、晴也さんは指した。
「あ、あの……。歌ってほしい曲があって――大滝詠一さんの“君は天然色”」
 リクエストに、晴也さんは親指を見せ、OKのポーズ。
「これは鍵盤じゃなくて、アコギだな」
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