うるせえ、玉の輿。
夜行列車に乗って、おじさんおばさんの田舎の家に向かうとして、腹ごしらえがしたい。
「おじさーん。釣り竿と餌、ちょうだい」
やってきたのは、海。
それでいて、平日は一日500円と餌代別途の釣り場。
ここの釣り場は、魚屋をしているおじさんの趣味と実益を兼ねた場所なので、釣れたらその場で調理してくれるし安い。
500円で釣った魚食べ放題と思えた、たくさん食べたいとき持って来いの場所だ。
「お、麻琴ちゃんか。今日は沖の方に鰈と鯵が出たよ」
「絶対狙う!」
突堤に寄り添うように積み上げられたテトラポットの上を跳ねながら、沖の方へ歩く。
鯵はその場でお刺身でしょー。鰈は揚げてほしいなあ。
小あじなら、何にしようかな。
「……」
テトラポットの上で、お魚料理を考えてテンションを上げていたのに、ふと現実に戻される。
業平がいなくても、私は生きていける。
それは業平も同じはずだ。
なのに、なぜか業平が私が居なくても、ジョージさんだけがそばに居れば幸せだったら少し嫌だった。
少しだけ、だけど。
「うおおおおおおお」
ぼーっとしていた私の耳に、雄たけびのような声が聞こえてきた。