うるせえ、玉の輿。
五、狼のお腹に石をつめたいです。
Side:虹村 業平



可愛い大きなお目目が私を覗き込んでいた。

私は寝ぼけながら聞く。
――どうしてあなたはそんなに大きな瞳なの?

可愛いお目目を持った人は言う。

貴方をよく見るためだよ。

――そう。じゃあ、どうしてあなたはそんなにきれいな声なの。

業平も低くてセクシーな声だよ。

――そうかしら。貴方はどうしてそんなに小さいのに、強がって無茶をするの?

強くなりたいからだよ。親父みたいな人間に二度と人生をめちゃくちゃにされたくないからね。

――なるほどね。じゃあ、あなたはどうして可愛いおめめで、可愛い声で小さな体で、泣いてるの?

ポロポロと泣きながら私を覗き込む、麻琴ちゃん。
抱きしめたくて手を伸ばすのに、意識はまだ微睡んだまま。


業平を、食べるためだよ。

覆いかぶさるように抱き着いてきた麻琴ちゃんは、羽があるみたいに軽くて抱きしめたいのに、私は眠たくて微笑むのがやっとだった。

そんな夢を見ながら、私は朝まで眠った。



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