うるせえ、玉の輿。


大げさに私はその場に座り込んだ。
「ひどい。そんなことしたら、私、あの家にはいられない。行く場所がないのに、やめて」
「う、嘘ですよ」

ジョージさんは優しい人なので、こういえばちょろいかなと思ったら、本当にちょろかった。

必死で嘘です、というジョージさんに笑ってしまった。

「優しい人ですね。ありがとうございます。では」

未だに少し混乱している彼を置き去りに、私はお会計を済ませて逃げた。

一目散に逃げた。だが、彼は混乱が解けてから急いで会計を済ませて、筋肉をフル動員させいとも簡単に私に追いついたのだった。

うやむやにしようとしたのにできず、彼は私が買ったスーパーの袋を全部持って会社まで持ってきてくれてしまった。

「……ありがとうなんて、私言いません。断ったのに貴方が無理やり奪ったんです」
「はい。その通りですね」
「迷惑です。私は本当に貴方がどうでもいい存在なので」

業平が彼を好き。
それだけで私は、私に好意を寄せている彼を傷つけている。
本当に最悪な女だから。だから、お願い。

どうか、お願い。
貴方はさっさと業平を好きになって。
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