伝えたい。あなたに。"second story"
情けなくても

たったひとり

『ごはんできたよ。』



部屋に戻って勉強していると、お母さんの呼ぶ声が聞こえた。



『おいしそう。』



『でしょ〜、おばあちゃんからいちごも届いたから、食べてね。』



少しずつ口に入れる。


おいしい。


でも、ずっと頭から離れないことがある。


家のごはんを食べるのは嫌じゃない。むしろ幸せだけど。


『薬飲むの忘れないでね。』


はぁ、、、


小さくため息をつく。
家でも薬は飲まなきゃいけないもんね。


ゴクッ


たくさんの水で飲み込む。


ゴホッゴホッ


なんで、、


飲み込もうとした瞬間に、戻してしまった。
数回の嗚咽が続いた。

はぁ。
今までこんなことなかったのに。


薬は日数分しかない。
今日は諦めよう。


吐き出したものをもう一度飲む気にはなれなかった。



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