シンデレラは王子に攫われる
その表情に、ドキッと麗美の胸が鳴る。画面越しにしか見られない人を麗美は一人占めしている。今にもキスをしてしまいそうな距離だ。

「私……」

麗美は覚悟を決めた。シンデレラは王子と最後は結ばれる。幸せを掴む時がやって来たのだ。

「私も、愛叶くんのことが好きです」

「やった!」

愛叶が微笑み、麗美も頬を赤く染める。好きという言葉を初めて人に言った。

空港に着き、二人は手をつないで搭乗手続きをするために走る。その間、手はしっかりと握られていた。幸せになれるのだと思うと、麗美の涙は止まらない。

灰かぶりは舞踏会に行かず、王子様に選ばれた。でもそんなストーリーもいいかもしれない。王子様の運命の人は、最初から決まっていたのだから。

「もう離さないから」

飛行機に飛び乗り、席に座った時、麗美は愛叶に囁かれる。

そして、二人の唇が重なった。
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