白と黒
液晶画面には知らない携帯番号が映し出されている。

少し躊躇したあと、俺は電話に出た。

「もしもし」

「・・・シライさんですか・・・?」

今にも消え入りそうな声で、受話器の向こうの女はそう言った。

「そうですが。そちらはどなた?」

俺の名前は白井憲明(しらいのりあき)。
電話の向こうの女は俺のことを知っているようだ。

「私・・・、クロカワと言います。クロカワミサ。南沢高校でシライさんの1年後輩になります。」

また、「ミサ」だ。
少し前までよく遊んでいた「ミサ」を一瞬思い出した。
が、すぐに俺の思考回路は、もう一人の「ミサ」についてに切り替わった。

クロカワミサ…って、あの黒川美咲か!

「あのラグビー部マネージャーの黒川か?」

すぐに思い出せた。
黒川美咲は一年後輩で校内でも有名な美少女であった。
彼女目当てのラグビー部入部希望者が溢れていたと聞いたことがある。
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