ねえ、理解不能【完】




いつもならそこで、ばいばいって爽やかに笑って、すぐに帰っていくけれど。
今日は、穏やかな表情で私を見下ろしたまま動こうとしない。



「.....ゆう?どうしたの、」


まだゆうの輪郭はとらえることができるくらいの薄暗さの中で、私はゆうを見上げる。

そうしたら、ゆうの手が伸びてきて、わたしの肩に手のひらを置いた。ピクリ、と反応してしまったけれど、それに恥ずかしがる隙もなく、ゆうが口を開く。




「俺ね、やっぱり青のこと好きだよ」

「..........」

「日に日に好きだなって思う。恋をちゃんと教えられてるかは分かんないけど____」




瞬きをした瞬間、私の肩に触れていた手が確かな力をもって。

ぐっ、と引き寄せられた。


強引さと丁寧さを足してうまく割ったような力。世界が、かたむく。




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