ねえ、理解不能【完】





翌日、たいして服装に悩むこともなく、Tシャツとジーンズというなんともラフな格好で妃沙ちゃんの家に向かった。

相手は妃沙ちゃんだから、楽な格好でも全然気にならない。本当にいつぞやの土曜日とは気持ちが180度違って、憂鬱な気持ちは一切ない。完璧な晴れ模様だ。









「妃沙ちゃん!青のおでましです!」



玄関のチャイムを押して、扉を開けてくれた妃沙ちゃんに、広野みゆちゃんを思い出してわざとらしくかわいこぶってそう言ったら、ふふふ、ってかわいこぶってないのにキュートな笑顔で迎えてくれた。



妃沙ちゃんのお家は、フローラルのいい香りが広がっていて、思わずくんくんって吸い込みたくなる。


妃沙ちゃんの後を追って、廊下を歩く。なんだか嬉しくて、鼻歌を歌っていたら、いつもみたいな丸眼鏡をしていない妃沙ちゃんが、


「青、テンション高すぎですよ?」


と、注意してきた。それでさえ、可愛い。

ラベンダー色の部屋着をきている妃沙ちゃんは、完全にオフモードで、いつもよりあどけないというか、なんだかギャップがあって。

私が妃沙ちゃんのことを好きな男の子だったら、たまらないと思う。


広野みゆちゃんより、私はやっぱり妃沙ちゃんのほうが可愛いって思ってるよ。

......比較はする必要ないけれど。


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