彼女は実は男で溺愛で

「それなら、なおさら」

「中古扱いで、それなりの金額を収めればいいから、心配しないで。立場を利用して、くすねてもいないからね」

「くすねる、だなんて。悠里さんは、卑怯な真似しないですよ」

 なんの疑いもなく、思いを口にすると悠里さんは眉をひそめた。

「外見では、騙しているのに?」

 ハッとして彼女を見ると、閉じた口元の口角を上げ、形だけの笑みを作った。

「あの」

「だからこれは口止め料」

 悪戯っぽく言う彼女の瞳の奥が寂しそうに見えるのは、考え過ぎなのだろうか。
 胸が苦しくて、胸の前で自分の両手を握る。

「私」

 言いかけた言葉は遮られ、悠里さんは重ねた。

「下着みたいに喜んで着てくれるのが、一番嬉しいの」

 優しい穏やかな表情を向けられ、小さく頷いた。

< 105 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop