彼女は実は男で溺愛で

「あー。私も使ってない。女子ロッカーって、いいイメージなくて」

 柚羽の意見を聞いて、私は羨ましげに言う。

「それ、教育担当の人が教えてくれたんでしょ?「使わない方がいいわよ」って」

「違うよ。「使うのなら、ロッカーはここ」って説明を受けたのは一緒」

 なにこれ。
 私の危機感が足りないってわけ?

 まだどことなく納得できていない私に、柚羽は明るく言う。

「ま、今さら遅いんだから、ロッカーがどうなったのか見てみようよ」

「えー。嫌だよ。怖い」

「ね、村岡さんも一緒に見に行きましょうよ」

 明るく誘う柚羽を尊敬する。

「阿呆らしい。私は嫌よ」

 彼女は食べ終わったお弁当箱を持ち、席を立つ。

 お昼休みはもうすぐ終わりで、結局は大半を共に過ごした。
 柚羽の粘り勝ちだ。

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