彼女は実は男で溺愛で

 手渡した里穂さんは、背を向けてくれている。
 豪快である彼女の、気遣いが心に沁みる。

「付け方は最初は難しいと思うから、やれる範囲で」

「はい……あの、閉じられないです。ホック」

 サイズを伝えたはずなのに、恥ずかしい。

 幼児体型を絵に描いたような体で、胴回りはきつくて閉じられないし、胸のカップはガバガバだ。

「そうかもね。恥ずかしくない程度に着けられたら呼んで」

 ガードルも、きつくて、やっと上まで上げられた。

 ブラは、かろうじて手で押さえ、里穂さんに声をかける。

「とりあえず、振り向いてくださっても平気です」

 この惨劇を見て、違うサイズを持ってきてくれるのだろうと想像した私はなにも分かっていなかった。
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