彼女は実は男で溺愛で

「史乃ちゃんが謝らなくていいのよ。そっか、そうね、いつも買っている、下着のサイズを教えてくれる?」

 これはもう逃れられない空気を感じ、赤面しながらサイズを告げると、1つ目の扉を開け里穂さんは扉の外に出た。
 そしてその扉を閉じると同時に、もう1つの扉を開けた。

 二重扉は、中で脱いでいても人が出入り出来るための仕組みなのだと理解した。

「悠里は、ここで待っているわけ?」

 試着室の扉の向こう側の部屋で、話している声が聞こえる。

「ああ、うん。終わるまで待ってる」

「へえ。後悔しないといいわね」

 意味深な言葉を呟きながら戻ってきた里穂さんの手には、トルソーが着ていたものと同じ下着。

 昔のお姫様がドレスの下に着ていたイメージしかない、物々しい形。

「まずはこれね」

「コルセットですか?」

「ううん。コルセットは腰だけに着けるやつ。これはビスチェとか、ロングブラっていうわ。こっちはガードル」

 ロングブラという名前の通り、通常のブラの下部分にも下着生地が続いている。
 ガードルは、ハーフパンツをギュッと細くした形。
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