彼女は実は男で溺愛で

 それでも、まだまだ里穂さんは手を緩めない。
 フォックがかけ直され、再びきつくなると、さっきとは逆側の脇から手を突っ込んで、お肉を寄せた。

「ふう」

 すごい力技でお肉を寄せる里穂さんは、体力を使うのだろう。
 息をついて私の正面に立った。

 そして、私の体を見て言った。

「ほら。谷間」

「えっ」

 ぽちゃっとしている割に、胸がない体がコンプレックだった。
 その体に、今は谷間ができている。

「わあ」

 まだまだガードルとロングブラの僅かな隙間からは、お肉がはみ出て醜い様相を呈しているけれど。

 ロングブラのブラのカップの中には、綺麗な膨らみがある。

 どんなに寄せて上げるブラをしてみたところで、どんなにパッドを重ねてみても、苦し紛れの谷間らしきものができる程度だった。

 それが今は、鎖骨の下にぷるんとした胸が谷間を作っている。
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