彼女は実は男で溺愛で

「この瞬間、好きだなあ。喜んでいて、心底いい顔してる」

「だって、すごいです!」

 興奮して、鼻息荒く訴える。

「これが本当の史乃ちゃんの胸。今までは合わないブラをして、胸のお肉を外に逃していたのね」

「胸を、逃して」

「そう。ちなみにパッドも入っていないから」

 目を見開いて、もう一度自分の胸を見つめる。
 おずおずと指先で触れてみると、ぷにっと柔らかい感触。

 今まで脇腹で感じた時は憎らしく思っていたのに、胸の位置にあると愛おしく感じるから不思議だ。

「よしっ。ここからよ」

 気合を入れ直した里穂さんは、今度はガードルに手を入れた。

 腿からお尻周りも左右からお肉を寄せられ、きつかったガードルがフィットしている程度の締め付けに変わる。
 その代わりに、脇腹やお腹辺りにお肉がブニョンとはみ出した。

「これも胸のお肉にしましょう」

 そんなの出来るわけがない。
 そう思うのに、里穂さんにかかると変わっていく。
 まるで魔法の手みたいだ。
< 20 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop