彼女は実は男で溺愛で

「これ以上甘やかされたら、ダメ人間になりそうです」

「史ちゃんはしっかり者だから大丈夫」

 よく分からない励ましの言葉が何故だか嬉しい。

「じゃ、いっぱいギュッってしてくれますか?」

 彼を見つめると、彼は片手で口元を覆って、ぼやく。

「俺、史ちゃんが悪い女なら、イチコロで騙されるよ」

 彼の手は私の顎を持ち上げると、椅子から体を浮かした彼にチュッとキスをされた。

「そ、染谷さんこそ。手慣れてる」

「ハハ。褒められている?」

「褒めていません!」

 戯れあって、なんだか幸せを感じた。
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