彼女は実は男で溺愛で

「そういえば里穂が「新しい下着を早目に作りに来なさい」って」

 里穂さんと悠里さんはとても仲がいい。
 知っているはずなのに、胸の奥がチクリと痛い。

「もしかして、金銭面を心配している?」

「え」

 表情を曇らせたのは、下着を買うお金の心配だと思われたようだ。

「次もプレゼントさせてよ」

「いや、それはさすがに」

「次は史ちゃんの体に合わせて作るから、半オーダーメイドになるらしくて、出来上がるまで時間もかかるらしい。早めに頼んだ方がいいよ」

「でも」

「サイズを測るだけでも、ね?」

 半オーダーメイドなんて、それこそ高そうだ。
 買うのなら、自分で買いたいのに。

 彼に押し切られ、今日の定時後もボディメイク室に行く約束をしてしまった。

< 206 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop