彼女は実は男で溺愛で

 定時になり、ボディメイク室に顔を出すと里穂さんが楽しそうな顔をさせて待っていた。

「相談って、なあに? と、まずはボディチェックからね! なんだか体型が変わっている気がする」

「え、あの」

 押し切られるように試着室に入り、里穂さんのキャーキャー声を聞く羽目になる。

「嫌だ。ちょっと。悠里ったら。独占欲、強めなんだね」

「え、それは、どういう」

 前にも増してキスマークが残る体を見られ、恥ずかしくて仕方がない。
 今日はボディメイクされるつもりではなかったから、気を抜いていた。

「だって、俺のものって印でしょ? それをこんなに。どれだけ史乃ちゃんを離したくないのって感じ」

 里穂さんの考察を聞いて、顔が熱くなる。
 もし、本当にそうなら、悩む必要はないのかな。

 勘違い、かもしれないし。
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