彼女は実は男で溺愛で
出社しても、仕事中はまだ仕事に集中できたけれど、お昼になるとダメだった。
「史乃。どうしたの? ボケッとして」
「色ボケでしょ。おめでたいわ」
2人の辛辣な会話も耳に入らない。
「そうだ。進んだの? 2人の関係」
そう聞かれ、勝手に再生される、艶かしい悠里さんの姿。
「わ、わ、わ。今の、なし」
「なにが?」
「あんまり突っ込まないでおきましょう。これ以上、ぼんやりされたら仕事でミスされそう」
村岡さんと柚羽は、すっかり息の合った様子で会話している。
それは喜ばしいのだけれど、2人にこの話を相談するなんて無理だ。
こういう話ができるのは……。
そう考えたときに思い浮かぶ人物は、ひとりいるにはいるのだけれど。
悩んだ末、相談したいその人に社内メールを送った。
ボディメイクアドバイザーの里穂さんだ。
彼女なら普段からあけすけな会話をする人だから、案外気にせず聞けるかもしれない。
それに、私には気になっていることがあった。