彼女は実は男で溺愛で

 変わらない日々は、寂しさを忙しさの中に紛れさせられた。

 仕事以外に連絡を取らないまま、週も半ばに差し掛かった頃。
 水曜の朝、メールをもらった。

 朝、携帯の方にメールが来るのは、珍しい気がした。

『今日、定時後にボディメイク室で待ち合わせしましょう』

 里穂さんに、下着を新しくした方がいいとは言われている。
 その話だろうな、と察しはついた。

 女性同士なら、会っても嫌な感情は芽生えないかもしれない。
 私は『わかりました』と返信した。

 悠里さんは、もちろん好きだ。
 そして、里穂さんだって。

 里穂さんも、悠里さんも悪くない。
 ただ、私の捉え方だけで、私が子どもだからいけないんだ。

 悠里さんを誰にも見せたくない。
 その気持ちとどう向き合えばいいのか、計りかねていた。
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