彼女は実は男で溺愛で

「きっと今なら大丈夫ですよ」

 もう未経験ではなくなった。
 トラウマも彼なら、すぐに解消できそうだ。

 私の言葉を聞いて、からかっていたような彼の顔が、真剣な眼差しになる。

「そんなに簡単に変わったら、苦労しないよ。史ちゃんが悩むほど、男としてのサガを持て余していたくらいの男だよ?」

 そんなの、きっと今だけだ。
 その思いが乾いた笑いとなって、転げ落ちた。

 私の思いの入った笑いを聞き流さなかった悠里さんが、怖い顔をする。

「体に分からせようか」

 悪い顔をする悠里さんは、体に手を滑らせた。
 ツツッと体のラインに触れる指先は、戯れ合いの触れ方とは変わっていく。

「悠里、さん」

「あいつに言われた通りなのは癪だけど。覚えたてのガキみたいだ。一度じゃ足りない」

 ガキなのか、猿なのか。
 抑えられない欲情に当てられ、私も息が漏れる。

 深くシーツの波に体を沈ませた。
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