彼女は実は男で溺愛で
きっかけは

 顔がくすぐったくて、目を覚ます。

「おはよ」

「おは、おはようございます」

 甘い顔をする悠里さんが、優しくキスをする。

 えっと、昨日は。
 そうだ、悠里さんの家に泊まって。

 何度も彼と体を重ねた、めくるめく夜を思い出しそうになって顔を熱くさせる。

「愛し合うって、ひどく滑稽で恥ずかしいものなんだね」

 爽やかな朝の日差しの中、爽やかな顔をした青年がとてつもない発言をしている。

「えっと、悠里さん?」

「ん?」

「あの、その」

 口籠っている私に悠里さんは笑う。

「朝に話す内容ではなかったね。週末にまたゆっくり話そう」

「はい」

 私もたくさん悠里さんに聞きたい質問や、話したいことがある。
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