彼女は実は男で溺愛で

「それに、落ち込んでいる人には渡しにくいから、困っていたのよ」

 なにやら、ガサゴソと鞄から封筒のようなものを出し、私たちに差し出した。

「後輩なんだから、出席しなさいよ」

 渡された封筒の中を覗くと、結婚式の招待状。

「え! 村岡さん! ご結婚されるんですか!」

「わあ。素敵ですね」

 もちろんお相手は佐竹さんだ。
 あの時の話が、そのまま進んだみたいだ。

「彼の友達、いい会社にお勤めの人が多いようだから、平林さんに誰かいないか聞いておくわね」

「本当ですか! やった! 村岡さん大好き!」

 村岡さんの言葉に、柚羽は感激している。
 村岡さんは「はいはい」と言いながらも嬉しそうだ。
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