彼女は実は男で溺愛で
今日もお昼は、ひとり寂しくお弁当を食べる。
食後にお手洗いに行くくらいしか、暇潰しもない。
お手洗いの鏡で自分を見つめ、ため息を吐いた。
「あの」
声をかけられ、そちらに顔を向けると、ひとりの女性が立っていた。
「はい」
手を洗うのに邪魔だったかなと、横にズレてから席に帰ろうとすると、もう一度声をかけられる。
「あの、総務課の、方ですよね」
「え、ええ」
なんだろう。
仕事のことかな。私に分かるだろうか。
社員証に目を向けると『経理課』と書かれている。
同じフロアにある課だ。
言い出しにくそうにしている彼女は、制服を着ていて勝手に親近感を持つ。
それでも緩めのカールされた髪は、年相応に可愛らしい顔にかかる。
見た目だけで20代前半と分かる風貌を羨ましく思っていると、力強い声で言われた。