彼女は実は男で溺愛で

「服選びは、またにしましょうか」

 そう言われ、帰ろうとする悠里さんを止める。

「せっかく選んでいただいたのに。それに私、悠里さんに見立ててもらいたいです!」

 明日も制服は着られない。
 だったら、悠里さんの選んでくれた服を着たい。

 私は何着かを合わせてもらい、試着室に入った。

 試着は、さながらファンションショーだ。
 着てみた服を360°見たいからと、回転させられ、あっちまで歩いてみてと言われる。

「ほら、恥ずかしがらずに、回転したらポーズ」

「えっ。ポーズって!」

 悠里さんは楽しそうに私を回転させてみたり、私を笑わせてみたりする。
 ほとんどが楽しいのに、時折、悠里さんが私を見つめる瞳が真剣でドキリとする。
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