クローバー~約束~
クローバー~約束~
代官山の雑貨店、「ほのか」は、女性向けのものだけでなく、男性向けの雑貨もある店だ。

「キーホールダー、がいいかな。ちょうど、壊れちゃって。」

盾のようなデザインのキーホールダーの、表面の飾りがポッコリ取れて、シンプルな銀色がべこっと凹んだ形になっていた。

「それはちょっと・・・みすぼらしいね?」

「こらこら・・・今まで使ってたんだから、それはないだろ?」

「あはは、ごめん、ごめん。どれがいいかな?」

「う~ん」

少し探していると、本革の、四つ葉のクローバーの形をしたキーホールダーを見つけた。
2人は目を見合わせ、「これだね」と。
1800円+税。こんな安いのでいいのかな?と美穂は思ったが。

「これが、いい」

という和希のたっての望みでそれにすることにした。

「すぐに使うので、タグを取ってください」

店を出ると、古いキーホールだーから鍵を取り外し、大切そうに新しいクローバーのものにつけた。

「ありがとう」

「ネックレスの価値と、釣り合わないかもしれないけど」

「そんなことないよ」

和希が笑った。

少し歩いて、西郷山公園の展望台に行った。天気が良く、富士山がキレイに見えた。

「写真、撮ったげる。美穂のスマホ貸して」

「一緒に写ろうよ。あ、すみませ~ん」

隣にいたカップルの男性に頼んで、写真を撮ってもらおうとして・・・和希の顔が固い。

「カズキくん、スマイル、スマイル」

「初めて一緒の写真って、緊張しちゃってさ」

「リラ~ックス!お願いしま~す」

シャッターがおりる瞬間、美穂が和希の頬にkissをした。

「なっ、なっ、なっ・・・」

慌てふためく和希。

「カズキくんが好きだなぁ、って思ったら、つい、ね」

「もう一枚、撮ります~?」

と男性。

「お願いします」

と和希。

今度は、2人、満面の笑顔で写った。

ベンチに座って、美穂は言った。

「私は、このネックレスに誓って、カズキくんはそのキーホールダーに誓って、ずっと、ずっと、ず~っと、一緒にいようね」

「10年後も、20年後も、30年後も・・・『約束』なっ」

「ねぇ・・・前も思ったんだけど、それってつまり」

「いつか・・・僕が独り立ちしたら、結婚しないか」

「・・・」

涙が爆発したように流れ出る、美穂の瞳。

「駄目、なのか?」

「いい、に決まってるじゃない。嬉しすぎて、涙が・・・」

ぎゅ~っ、と和希は美穂を抱きしめ。

「愛しているよ」

そして、2人、熱い、熱い、kissをした。

ねぇ、和希くん。

私たち、出会ったばかりだけど

はじまりから、何か運命みたいなものを感じてたんだ

傷ついた心にするっと入ってきたあなた

優しいあなたとなら、これから、一生、一緒に生きていける

これからいろいろなことがあると思うけど

私・・・あなたから離れないから

覚悟してね

すごく、すごく、愛してる。


The End
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