夏が好きな理由
「せ、先輩……。それ、間接……」

キスと言おうとしたけど、恥ずかしくて言葉が出てこない。僕は嬉しいんだけど、向日葵先輩はわかってるのかな。

「ああ、間接キスでしょ?」

何か問題?と首を傾げる向日葵先輩に、僕は「えっ!?だ、だって……」と焦る。普通ここって照れるとか何かあるでしょ!

「いや、好きな男と間接キスしたんだから、内心は照れてるよ?」

「……へ?」

僕が聞き返す前に、向日葵先輩は「ごちそうさま」と言って部活に戻っていく。その後ろ姿を、僕は真っ赤な目で見つめていた。

去っていく向日葵先輩の耳が赤くなっているのは、期待してもいいのかな?

これだから、夏は憎めない。
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