雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「真由は、もしその時のことはっきりと思い出したらどう感じるだろうね」

 拓登が抑揚のない声でぼそっとつぶやいた。

 どこかで私と瑛太が繋がるのを恐れているのだろうか。

 流れる景色を見ていた瞳は小刻みにゆれているが、それが不安そうにも見える。

 私がこの話を持ち出すと、拓登はどうも落ち着かないみたいだった。

 いくら瑛太が過去に私の頬にキスしてようが、この間も同じ事されようが、私は瑛太には全然興味がないのに。

 私はそれをどう拓登に伝えたらいいのだろうか。

 傘を貸してから、同じ学校だと知って、そして周りの女の子達がすでに騒ぎ立てて意識してみているうちに、私は知らずと拓登のことに興味を持っていた。

 それを否定して、自分を騙していただけだが、拓登から声を掛けられて一緒に帰るうちに私の心はマックスにドキドキししまい、もう参っている。

 ちょっとプライドもあるから自分の気持ちに素直になれなかったけど、そんな態度だったからものすごく中途半端に拓登と距離ができてしまった。

 拓登からすでに心を開かれているのに、この先へ進むにはどうすればいいのだろう。

 そうこう考えているうちに自分達の駅について降り立った。

 改札口を出れば、私達三人はそこで立ち止まってお互いの顔を見た。

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