雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「それさ、中学でもよく言われてたね、千佳」

 かの子は二人と同じ中学だけにこの双子の姉弟の事は良く知ってそうだった。

「まあね。弟は確かに私よりは女らしいところがあってさ、悔しいけどあいつの方が器用なんだよ。料理や裁縫なんか得意で、ほんと宿る体を間違えたかもしれない」

「うんうん、千佳はその点スポーツとか喧嘩が得意だもんね」

「ちょっとかの子、喧嘩って何よ」

「ごめんごめん、まあ昔は千佳ちょっとぐれてたからつい」

「えー、千佳ってぐれてたの?」

 私とみのりがびっくりすると、千佳は隠すこともなく余裕の笑みを浮かべて肯定した。

 でも詳しいことは何も話したがらずに、その後はかの子が続けた。

「ぐれてたっていっても中学一年の時だけだったから、その後はなぜか真面目になって一生懸命勉強し出して、見る見るうちに変わっていった感じだった。私が仲良くなったのも、変わった後だったから、私も千佳がぐれてたときの事は噂でしかしらない」

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