一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 彼の指先がそろりと私の唇から首すじをなぞって下りていく。鎖骨から胸にたどりつくと、ビスチェのリボンに指をかけた。するりと簡単にほどけるそれを見下ろしながら、私の胸は痛いほど脈打つ。

 抗いたいような、そのまま受け入れたいような、恐怖なのか緊張なのか、自分でもわけがわからない感情が胸の中でせめぎ合っている。

 雅臣の目に見つめられると、動けない。

 思えば最初からそうだった。射抜くような強い瞳は、いつだって私をまっすぐに見る。

「まって」

 むき出しの肩や鎖骨にキスをされながら、どうにかひと言だけ口にした。

 身動きが取れないでいる私を、彼は静かに見下ろす。

 正直に言えば嫌じゃない。雅臣に触られると、胸が甘く痺れる。でも、まだ……。

「お願い、まって」

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