一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
 鏡面仕上げのゴールドがまばゆい輝きを放っているそれは、真ん中に至高の宝石、ダイヤモンドが埋め込まれている。お値段、およそ三十万円。

「ええ、二條家の皆様の感覚が、私とは二桁ずれてるということがよくわかりました」

「なにわけのわからないことを言ってるのよ」

 伊都さんに冷たく言われながら、ため息が落ちた。

 二條家の嫁として、もっとふさわしい人間になりたい。そう思った私は、この二週間、積極的にセレブ的な生活に馴染もうと努力していた。

 坂城さんに取り寄せてもらった習い事のパンフレットを読み漁り、英会話やお茶の教室に通ってみたり、今まで入ったこともなかった高級ショップに足を踏み入れてみたり。

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