一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
 今日は買い物に出かけるという伊都さんにお願いしてくっついてきたのはいいのだけれど、本物のお嬢様は私が想像していたよりもずっとパワフルだった。行動力も、お金の使い方も。

「さてと、じゃあ帰る前にちょっとお茶していきましょ」

 伊都さんの言葉にようやく一息つけると思い、体の力が抜けた。

 片道が四車線もある都心の交差点が窓の向こうに見えている。夕方の四時になろうというのに、七月の空はまだまだ明るかった。


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