一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 ありがとう。

 思いがけない言葉にきょとんとしていると、顔を傾けるようにして目を覗き込まれた。

 雅臣の瞳の中で、光が揺れてる。

 私の顎に長い指が触れ、もう一度、ゆっくりと唇が重なる。

 ふと声が聞こえた。

 愛してる――。

 それは実際に音として耳に入ったのかどうかわからないほど微かで、そのぶん切実な響きだった。

 もしかすると本当に心の声だったのかもしれない。

 でもたしかに、雅臣の声は私の胸の奥深くに届いて、大きく響いた。

 愛、おまえは俺の、最愛の妻だ――。





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