一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
お互いが同じ気持ちでいる。そういられることが、それがわかることが、これほどまでに幸福だなんて。
「私は、あなたを愛してます」
想いが言葉になって、自然と口からこぼれた。
一瞬、驚いたように眉を持ち上げた雅臣は、やがて嬉しそうに破顔した。
「俺もだ」
お互いの顔が近づき、ゆっくりと唇が合わさる。
それはまるで誓いのキス。
肌の触れあいでありながら、気持ちの触れあいでもあり、たくさんの過去が終わりを告げた瞬間であると同時に、ふたりだけの未来のはじまりでもあった。
甘くて、優しくて、神聖で。
セミの声が祝福のように降り注ぐなか、雅臣は噛みしめるように私の耳もとで囁く。