一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

 ぶれることなく注がれる瞳から目を逸らし、気づかれないように小さく息をついた。

「あなたと結婚したら、私はなにをすればいいんですか」

 ふっと吐息が漏れる音に目を向けると、二條雅臣は微かに笑っていた。話が早いというふうに、口を開く。

「まず、派遣の仕事は辞めてもらう。その代わり、借金や母親の医療費はこちらで負担しよう。それから二條家の人間の前では控え目であること。必要があれば妻としてあらゆる場所に同行してもらう」

 それ以外は自由だ、と付け足す彼に、私も付け加える。

「そして、あなたも自由に振舞うわけですね」

 体面のために私という妻を据えておけば、彼は裏で自由に女性と付き合える。

 つまり、私はお飾りの妻になるのだ。

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