負け犬の傷に、キス


ぽろっとこぼれた返事に笑みを深める。


あー! よかったー!
ここで迷惑だって言われたら立ち直れなかった。




「はいっ、じゃあ同盟に反対の人!」




挙手を呼びかけたら、誰の手も上がらない。




「薫、不服そうにしてるけど……いいの?」


「双雷に加わるんじゃなくて同盟なら……まあ、別に。“薬”の関わる戦いなら、下っ端たちも受け入れてくれるだろうしね」




やれやれとため息をつかれた。


柏のいかつい目つきが、博くんとユキを射抜く。




「お前らの実力は申し分ねぇが、本気で同盟組む気なら秘密にしてること全部吐いてもらわねぇとな」


「……ああ、そうだな。全部教えるよ」




さっきまでやるせなくしてたのがウソみたいに、ユキは飾り気のない表情をしていた。


わあ。役者さんの顔面、お強い……!

おだやかで、凛としてて、ついほうけてしまう。




「か、薫は秘密知ってるの?」


「だいたいね。予想はついてる」




イスを直しながら耳打ちすると、通常の声量で返された。


さ、さすが薫。

俺、秘密があることにすら気づかなかったよ。




全員改めて座り直してから沈黙が続いた。



心の準備と整理が必要だもんな。

話してくれるのを待っていよう。



ひとりそわそわしていれば、思ったより早く沈黙をぶった切られた。


その始まりの声は、




「――“無色”」




なぜかすぐ隣から聞こえた。


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