負け犬の傷に、キス
「んーと……あっ、あそこだ!」
繁華街にやって来た。
立ち並ぶお店のひとつが目的地らしい。
連れられて入った店内には、たくさんの洋服が飾られていた。
「ここって……」
「古着屋らしいよ」
「……らしい?」
「昨日薫から聞いたんだ。繁華街に安くていい服屋見つけたって。……薫の情報がこんなところで役立つとはな」
あのカオルさんのおすすめかぁ……。
髪色とかピアスとか、カオルさんのオーラまでこじゃれたイメージがある。きっとセンスいいんだろうな。
ちょっとこのお店に興味出てきた!
「わたし、古着屋さんって初めて」
「実は俺も。薫の安いってどんくらいの安さなんだろ……」
店内を埋め尽くす洋服。
黄色いライトを浴びる靴。
色、柄、サイズのちがう物が、何種類も……。
つい楽しくて近くの洋服を見ていると、草壁くんが女性の店員さんに声をかけた。
「すいません。学生で買える値段で俺たちのことコーディネートって……できたりします?」
「おふたりをコーディネート、ですか? はい、可能ですよ!」
「ほんとですか!? じゃあお願いします!」
……ん? 洋服に夢中になってたけど、コーディネートって?