負け犬の傷に、キス
ドキドキしながらおいしくクレープを食べ。
ゲームセンターでクレーンゲームとコインゲームに挑み。
雑貨屋さんで外国の珍しいインテリアを見て。
――いつの間にか、辺りはオレンジに染まっていた。
「草壁くん、今日はありがとう。楽しかった!」
公園に戻ってきた。
ベンチに腰かけて今日を思い返す。
デートしてるみたいだったなぁ。
「津上さんが元気になってよかったよ」
それは草壁くんが隣にいるから。
だからだよ。
「……あのね、」
弱音を聞いてほしくなる。
聞かせたってどうしようもないのにね。
自分が楽になりたくて。
でも草壁くんなら受け止めてくれる気がして。
なんて、自惚れかな。
「学校で嫌なことがあって、それで、逃げちゃったの」
「嫌なことって……?」
「先週わたしが草壁くんたちといたところを、うちの生徒に見られてたらしくて……」
「も、もしかして、俺たちのせいで……」
「ち、ちがう!」
間髪入れずにかぶりを振る。
ちがうの。ちがうんだよ。
草壁くんたちといたことじゃなくて。
「草壁くんたちを悪者扱いされたことが、すごく、すごく嫌だったの」