ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
「何かお探しですか?」
この一週間接客は凌駕がするのをずっと見て来た椿は真似をして声をかけた。
「リビングに飾る花を探してるの。いつも季節の花を一輪挿しに飾ってるんだけどね。」
「そうですか・・・」
椿はそこから会話を続けない。

椿の接客を見ている凌駕は息をすることも忘れて椿を心配そうに見ている。

「あっ」
後ろから聞こえた声に凌駕が振り向くとそこには作業台で作業をしている海が珍しく剪定を失敗していた。きっと海も椿の接客を息を飲んで見守っているのだとわかった凌駕は少し自分の体をずらして海の位置からも椿が見えるようにした。

「主人がなくなってから少しでも部屋を明るくしようと思って飾ってるのよ」
「・・・そうですか。」
「主人は花粉症がひどくてね。少し嫌がらせの気持ちもあるの。あなたが私をおいて先に逝ってしまったから、生きている間は飾るのを我慢していた花をたくさん飾っちゃうわって。」
椿は女性の話を真剣に聞いている。
< 22 / 292 >

この作品をシェア

pagetop