ワケあり花屋(店長)とコミュ障女子の恋
椿の動かない右手の代わりに海が手伝いながらその本のページをめくる。
「どう?俺いま、造花と生花を混ぜたブーケづくりしてんだ。」
凌駕が椿に言う。

海が椿の視線に合わせてページをめくる。

「これなんてっ」
つい凌駕が椿が見ている本に近づくと一瞬にして椿は体をこわばらせて海の方に近づけた。
「ごめん」
椿の様子に気が付いて凌駕がシュンとして謝る。
「ごめんね」
体を離して凌駕が謝ると椿は首を横に振った。

三人の間に微妙な空気が漂う。

「椿」
海が椿の確認をするように顔を覗き込む。
「大丈夫・・」
椿は海を見て小さく頷いた。
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