リベンジ学園
(ウソ……。

ベランダ側の窓ガラスが割られて、殺人ネズミが教室に入ってきている)



梨華はあってはならない最悪の事態を見て、恐怖で思わず息が止まった。



(早く逃げなきゃ、殺人ネズミに襲われる!)



巨大なネズミの集団が梨華と宏和という獲物めがけて、一斉に走ってきていた。



闇の中で光る赤い瞳は、梨華と宏和にターゲットを定め、ものすごい勢いで近づいてきていた。



「梨華、後ろに気を取られるな。

全力で逃げるぞ!」



宏和はパニックになりかけている梨華の手を握りしめ、全力で学園内の廊下を走っていた。



でも、宏和と梨華が廊下に出てすぐに、殺人ネズミの集団も廊下へと飛び出してきた。



宏和が生きた心地がしない中で後ろを振り返ると、自分たちが全力で走る速さよりも速く、殺人ネズミが迫ってきていた。



それを見た宏和は殺人ネズミを振り切ることをあきらめて、1年6組の教室に飛び込み、ドアを閉めた。



これで殺人ネズミはこの教室には入ってこれない。



宏和と梨華はようやく安全地帯を手に入れ、その場に座り込み、荒い呼吸を整えるためにしばらくその場で黙り込んだ。



(宏和が一緒で良かった……。

もしも私が一人でいたら、おそらく私は生きていない。

私は宏和に守られている……)



梨華はそんなことを思い、安堵すると、なぜだか瞳から大粒の涙がこぼれ落ちてきた。



梨華はなぜ自分が泣いているのか、その理由を自分でもよくわからないままに涙を拭った。
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